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シンチラ vs フリース [全 般]

今でこそフリースは「フリース」と一般に呼ばれているが、一般名称がなかった時期があった。
そこで、このあたりにつき、私の認識を述べよう。

まず、フリース素材のジャケットは1985年にパタゴニアが初めて発表し、synthetic と chinchilla の合成語で「シンチラ」と呼称した。

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1985年春カタログ
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「2年前にわれわれは新素材の必要性を認識し、ノースカロライナの工場に開発指示をしたところ、彼らはその1年後、われわれがシンチラと呼ぶ全く新しいパイル素材を提供した。それから一年間はテストを行った。うんぬん」と書かれている。
シンチラがカタログに始めて登場したときである。

シンチラジャケット69.5ドル

右の写真ではイボンシュイナードがシンチラTネック(当時はスナップTではなくTネックと呼ばれていた。当時59.75ドル)を着て、息子のフレッチャーを肩車しながら川を渡っている。

ちなみにパタゴニアのホームページには「1985年秋、私たちはアンダーウェアすべてを新開発のキャプリーン・ポリエステルに切り替え、さらに同シーズン、新製品シンチラ・フリースを発表しました。」と書いてあるが、カタログから見れば1985年春にはすでに発表されていたことが明らかである。


さて、その後、しばらくの間、フリースはpatagonia でしか製造されていなかったので、知名度はないものの、知っている人はこれを「シンチラ」と呼んだ。
その後、何年かして他の会社もフリースを製造するようになった。しかし、「シンチラ」はパタゴニアの商標であるから、他社は使用できない。 そのため、呼称なく、「新素材ジャケット」などとして売られたりしていた。
その後、多くのフリースが「ポーラープラス」という呼称で売られるようになった。
なんとなくそれらしい名称であるため、私はこの「ポーラープラス」で落ち着くのかと思った。

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 ポパイ1990年3月号においてフリースは「この新素材、現在は一般にポーラープラスと呼ばれ」と書かれている。当時は「フリース」という言葉は生まれていない。


ところが、その後、いつの間にか、「フリース」という名称が一般呼称化した。
それでも私は、パタゴニアだけは第一人者として、「シンチラ」呼称を貫き、「フリース」は使用しないのだろうと思っていた。
しかしながら、あるときカタログをみると、パタゴニアまで「シンチラフリース」などと呼んで、「フリース」の呼称を用いていたので驚いた。
私は、「パタゴニアの敗北」と思った。すなわち、「シンチラ」が「フリース」に負けたと。

しかし、その後、もっと驚き、そして納得することとなった。
すなわち、以前、パタゴニアファンの人が開設しているブログがあり、そこで、1970年代の古いパタゴニアのカタログを見る機会があったのだが、当時のカタログ中に、「FLEECE」との名称で売られている商品があったのである。
そのカタログを私は所持してはいないので写真を載せることができないのが残念であるが、確かに、「Fleece Jacket」などと書かれていた。

とすると、もともとパタゴニアが商品に用いた名称が、その後パタゴニアが開発製造した新素材の名称になったということであり、何もパタゴニアの敗北ではないということになる。
それを知り、パタゴニアが「シンチラフリース」との名称を用いたことに対する私の感じた違和感が解消されたのである。

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初期型レトロXジャケット。1993年製。

















タグ:レトロX
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