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パタゴニア 激安の理由 vol.4 [激安の理由等]

 近年の円高は2007年7月に1ドル124円の円安をつけたところからじりじりと始まっている。現在は76円前後であるから円の価値はこの4年間で1.6倍以上になったわけである。

 そこで、2007年以降の主要製品の平均「1ドル価格」をみてみる。

    2007年 日本価格÷米国価格(1ドル価格) 平均153.34円
    2008年 同上                     151.01円
    2009年 同上                     148.74円
    2010年 同上                     147.15円
    2011年 同上                     141.02円

 12円ほど安くなってはいるものの、為替レートのほうが約48円も上昇したことを考えると、ほとんど変わっていないといえる。










 結論、
 
 近時の円高はパタゴニア製品の日本価格にはほとんど反映されていない
 
liquid sky b2.jpg
 
 「お手上げです」。

 (着ているのはリキッドスカイジャケット

                  

 「お疲れ~」
















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パタゴニア 激安の理由 vol.3 [激安の理由等]

 ドル円為替レートは昨日2011年10月21日、史上最高値を2カ月ぶりに更新し、75円78銭を記録した。

Part.3では近時の円高が価格に与えた影響についてみていきたい。

 これについて私の頭に浮かんでいたのが新型トレントシェルジャケットの登場についてである。
 新型トレントシェルジャケットはこれまでのパタゴニアの常識を打ち破った。
 この製品が2009年に新登場する以前はパタゴニアの普及型低価格製品の価格はおおむね26,000円前後であった。現在も製造が続けられているロングラン製品レインシャドウジャケットがこれにあたる。
 これを6,000円も下回って、ハードシェル史上初めて2万円切りの19,500円で登場したのが新型トレントシェルなのである。2010年にはさらに値下げになり17,850円になっている。

      2009年 トレントシェルジャケット 19,500円
      2010年 トレントシェルジャケット 17,850円
      
 パタゴニア日本支社の近時の価格設定は90年代とは異なり、年毎に大きく価格を変動させない方針となっている。したがって、円高だからといって、一旦26000円程度で売り出したレインシャドウの価格をここに来て大きく下げるわけにはいかない。
 そこで、安価な新製品を出して円高効果を反映させたのではないのか。それが私の仮説であった。
 
 しかし、それは違っていた。


 その仮説が正しいというためには、トレントシェルジャケットが米国ではそれなりの価格設定(レインシャドーに近いレベルの)であるにもかかわらず、円高になってから発売された商品であるために日本では安い価格設定となった、といえなければならないわけだ。
 しかし調べてみるとこの製品は米国でもレインシャドウより格段に安かったのである。

      2009年 torrent shell jacket $119
      2010年 torrent shell jacket $119

                     (rain shadow は2009年に$150、2010年に$179である。)


 このtorrent shellの日米価格を比較してみると 

     2009年 日本価格÷米国価格=163.87円
     2010年 日本価格÷米国価格=150.00円
           となる(以下、「日本価格÷米国価格」を、「1ドル価格」という)。


 比較のために主要製品の1ドル価格の平均を調べてみたところ、2009年が148.74円、2010年が147.15円であった。
 したがって、むしろトレントシェルの日本での価格設定は他の商品と比べても高いことがわかったのである。
  

 つまり、仮説は完全に間違いだったのであり、とすると、足元の円高が価格に与える影響は何か、に対する答えにはならなかった。
 というわけで、Part.4では意地になって年度別の1ドル価格を調べてみることとする。
 
old torrentshell b5.jpg

旧型のトレントシェルジャケット。新型よりももっと価格が高かった。




 
 
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パタゴニア 激安の理由 vol.2 [激安の理由等]

 Part.1ではドル円為替レートにそってストームジャケットの価格が90年から95年にかけて下落し、96年以降上昇したことを述べた。

 しかし、本場アメリカでのストームジャケットの価格が90年~95年に下がり、95年~98年にかけて上がっていたとしたら、為替レートの問題ではなく、製品自体の価格変動ということになる。

 そこで、90年~98年にかけて米国でストームジャケットがどのような値動きをとったかを見てみる。

 以下のとおりである。
      
      1990年  storm jacket $220
      1992年  storm jacket $265
      1993年  storm jacket $275
      1994年  storm jacket $275
      1995年  storm jacket $280
      1996年  storm jacket $285
      1997年  storm jacket $285
      1998年  storm jacket $289


 90年からじりじりと一本調子で価格が上昇していることが分かる。

 90年~95年にかけて大きく価格が下落した日本とは明らかに異なる価格の動きである。

 以上から95年にパタゴニア製品が激安であった理由はやはりドル円為替レートが円高だったことに尽きることが裏付けられた。

 以上で、検証終了。



 ということで、ここで終わりにしてもよかったのだが、周知のとおり現在、ドル円為替レートは77円前後にぴったりと張り付いており、超円高といわれる状況が続いている。
 為替と値段設定というなかなか面白いトピックなので、Part.3で現在の円高がパタゴニア製品の価格設定に与える影響について見てみる。


storm 1998b.jpg

1998年製 ストーム 人気色ハンター。
















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パタゴニア 激安の理由 vol.1 [激安の理由等]

今年(平成23年)の3月、ドル円の為替レートが80円の大台を割り込み、史上最高値の76円台代前半まで上昇した。このとき、ニュース等で繰り返し「16年前の円高水準を超えた」との報道がなされていた。
その16年前、すなわち1995年の4月、ドル円為替レートは当時の史上最高値の1ドル79.75円をたたいていた。
1990年初頭には160円程度であったことから、実に5年間で円の価値は倍にまで高騰していたのだった。その後、円安へのゆり戻しがあり1998年秋に140円台まで下落している。

つまり、1995年までは激しい円高、以降は激しい円安だったのである。

パタゴニアはアメリカからの輸入品であるから、当然大きく為替レートの影響を受けた。その結果、
1995年、日本でのパタゴニア価格は激安となった。

具体的に単一製品の価格の動きで見てみよう。
パタゴニアのロングラン製品、ストームジャケットが最適である。
      
      1990年 ストームジャケット 50,000円
      1991年 不明
      1992年 ストームジャケット 39,500円
      1993年 ストームジャケット 37,000円
      1994年 ストームジャケット 37,000円
      1995年 ストームジャケット 32,000円←最安値
      1996年 ストームジャケット 33,000円
      1997年 ストームジャケット 36,000円
      1998年 ストームジャケット 36,000円

 為替レートにそって、きれいに1995年まで下落が続き、以降少しづつ値上げされているのが分かる。
 
 95年にはあのスーパーアルパインですら43,000円で手に入れることができたのだ。

      1993年 スーパーアルパイン 57,000円
      1994年 スーパーアルパイン 52,000円
      1995年 スーパーアルパイン 43,000円

 こうみると95年にたくさん買っておけばよかったと後で思うのだが、仕方がない。為替レートがどちらに振れるは全く分からないからである。
 少し以前のことになったが、私は2008年3月のベアスターンズ、同年9月のリーマンブラザーズ等の大手米国金融機関の各破綻をきっかけとする未曾有のリスク回避志向の高まりによる急激な円高により、高級ドイツ車を優に新車で買えるくらいまで為替で負けこんだことがある。

 パタゴニアとは関係ない話で恐縮だが、生きていると時としてこのように思惑と反対に事が進むことがある。
 そのような場合にはどう対処すべきか。
  私は当初の思惑を忘れて頭を切り替えるといいと思っている。
  「どのように金が動こうとも、いかに心の平静を保っていられるかを楽しむのがばくちの本質」と龍角散の元社長藤井康男氏が述べているが、マネーゲームについてもそのように考えるのも一つだ。
  私は、マネーゲームに限らないが、何かをやってみて負けたらそれを思い出にすればいいと思っている。勝負をしなければ何も得るものはないが、勝負すれば負けてもその分感じたものがあるし、経験を得ている。負けた人だからこそ言えることがある。

  恋愛はその最たるものだろう。アプローチに失敗し振られたことも糧となる。

  時がたつにつれ負けの痛みは和らいでいき、負けによって得たものがかけがえのない自分の資産と感じられるようになってくる。
  負けや損や無駄を積んできた人の方がそうでない人よりも強いのだ。
 
  Part.2では、上記の値段の動きが為替レートによるものであることにつき、念のため検証を行うこととする。


IMG_1454b.jpg

1996年製ストーム。96年~05年のストームは美しい。















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